『S』 message from shiina

「I & key EN」がリリースされる前から2012年の間にフルアルバムを出すと言う話は俺を含めスタッフの間で決まっていました。あまり間をあけたくない。移り変わりの激しいこの現代社会の中で自ら活動を一旦休みたいとか言う人はさぞかし人気者か、本物のおバカさんだと思うんですよ。

俺みたいな「椎名慶治?誰?ってかなんて読むの?」みたいなアーティストは馬車馬の如く働ける事に喜びを見出して、そこに猪突猛進するしかないわけですよ。そう、やりたくてやってる。忙しくなりたくて忙しくなれてる。これがしたくたって出来ないアーティストが沢山いる中でなんと贅沢な事でしょうか。

ですが、まぁ当たり前ではあるとは思いますが、疲労困憊が滲み出てしまう事もある。声帯のコンディションが整わない事だって多々ある。今回のアルバム「S」も例に漏れず絶好調なんてありゃしない中で、それでもその時に出来る100%を超える歌をこの世に刻みつける為に全力で挑み続けました。

まぁ結局2012年内に発売する事は制作の進行上不可能ではないにせよ、ちょっと奇跡に近いリスキーな形になると判断したのと、2013年が俺にとってデビュー15周年って事もあり発売を潔く延期。発売がひと月先になった事で、ヤマ(山口寛雄)とじっくり腰を据えて話し合いが出来たのはでかかった。

寄せ集めのアルバムではないっていうかね。

一つ前の作品である「I & key EN」は、俺の中でミニアルバムと言う枠組みから外れた異質なものになっていて、1stフルアルバム「RABBIT-MAN」をひっさげてのツアーよりも本数が多かった事、キャパもO-eastから赤坂BLITZを2日間等になった事で更にミニアルバムって感覚を麻痺させていったというか。ミニアルバムって場繋ぎ程度のものみたいな感覚が小さい頃はあったんですよ。フルアルバムまでの繋ぎって言う失礼なね。だけど「I & key EN」を作ってそれは違うんだと気付いた。俺の中ではもはやフルアルバムレベルの活動だったような気がします。

だからでしょうか?2ndフルアルバムをリリースする予定で動く時に妙に違和感があったというか。3rdフルアルバムを作るような感覚に陥ったというかね。なのでシングル「I Love Youのうた」や「I & key EN」からの楽曲を全部除外したアルバムを作る方向でスタートしたんです。全10から11曲ぐらいで全部新曲と言う形で。

制作が順調に進んでいったある日に上のような感覚の麻痺にふと気付いた俺はそこから話を急転させることに。

新曲10曲。リアレンジ1曲。過去の曲を1曲と。全12曲に。そしてそれが情報解禁され、ホームページ上に全12曲と表記されたんです。ここで俺は更にわがままを言い出すわけですね。結局、2ndフルアルバムまでの一連の流れでどうしても外せないって曲が更に2曲あると。社長を説得する形で、そして納得してもらった上でそれも収録する事に。全14曲へと変貌を遂げていったんです。本当にギリギリで収録曲数を上げたわけですね。

俺の中で異例な事。

情報解禁された後に覆したのは14年で初です。単純に曲数が多いほうが良いなんて解釈は俺にはなく、脈絡ないもの、異質なものを収録すればアルバムのバランスが崩れ自分の理想から遠のいていく。

まずは自己満足。

その上で周りを巻き込みたい。「I & key EN」の時にも同じ事を言ったと思います。これが1番大事な事なんだと最近つくづく感じてまして。何度もデモ曲を並べて聞いてみたり、歌詞を見直してみたり、自分の中で2ndフルアルバムに収録する理由が見いだせたからこその14曲。なのでボーナストラックみたいなイメージで収録ではないんでね?そこ勘違いしないでもらいたいなと。

1月リリースなのに「ハッピーロンリーライフ」(クリスマスをテーマにした曲)とか、発売日ばかり気にして名曲をカップリングだけで埋もれさせるのも違うだろっていう解釈ですから。発売日ばっかりに気をとられちゃいけないよと、購入してくれるリスナーの皆さんは発売日に買う人だけじゃない。それこそ来年の12月に初めて俺を知って購入してくれる人もいたりね。季節感とか気にしちゃいけねぇなぁって。

過去の自分を超えていく。

常にそんな気持ちで歌っていますが、今回はその気合いが更に増したなと。敵は自分自身。良い曲をこの世に残してやがんですよこの椎名慶治って奴は!「RABBIT-MAN」とか聞き返したら良いアルバムなんですよ!聞いてない人は絶対に聞いたほうが良いと思うほど良いアルバム。時間が経って冷静に俯瞰で聞いてもそう思える作品を過去に作れた事は嬉しい。

がっ!負けたくないんすよ椎名慶治に!

なので気負いも凄かった。シングル「I Love Youのうた」の制作からその気負いはあって、1stフルアルバムを超えていけと。結局超える超えないの判断はリスナー側の判断。ただ、俺自身はやるだけやった。限界までやったと言う今の自分を全部出した事でもう勝ち負けどうでも良くなったと言うか(笑)。

1stもいいし、2ndもいいし、それでいいじゃん!って言えるようになりました(笑)。
リスナーの皆さんはあっちがいいこっちがいいと友人と楽しく話してもらえれば嬉しいかな。

「S」と言うアルバム名に込めた俺の想いは是非その耳で確かめてほしいなと思います。

だから、だーかーら!絶対に聞いてくださいね?ね?


椎名慶治